シェアエックス株式会社(本社: 神奈川県茅ヶ崎市、代表取締役: 中川 りょう、以下...
【レポート】リスキリングJAPANカンファレンス2024「リスキリングという選択を迷っている自治体・企業・人へのメッセージ」
2024年7月11日(木)にミッドタウン日比谷とオンラインのハイブリッド開催された「リスキリングJAPANカンファレンス2024」(日経BP研究所主催・シェアエックス企画協力)。
2022年に続き、2回目の開催となった今年は 「リスキリングは本当に成長と幸福をもたらしているのか」 をテーマに、【国】【企業】【人】それぞれの分野からゲストスピーカーの方々にご登壇いただき、さまざまなリスキリング事例をご紹介しました。当日はオンライン視聴含め○○○人の方にご参加いただき、リスキリングの意義を考え直す、熱く濃い1日となりました。
オープニングでは、「リスキリングという選択を迷っている自治体・企業・人へのメッセージ」と題して、弊社が昨年からリスキリング支援をさせていただいている小松島市から、中山市長、シケン株式会社 島社長、セブンセンスマーケティング(株) 林氏にご登壇いただきました。
本ブログでは、リスキリングJAPANカンファレンスのオープニングトークの内容をご紹介いたします。
まずはご登壇者のご紹介!
国・企業・個人の事例から読み取る“リスキリングがもたらす幸福度”
—— シェアエックス(株) 代表取締役 中川りょう
中 川 :弊社では「Chance to Change=機会を変革する」というビジョンのもとでリスキリング事業を展開しておりますが、私自身も仕事を通してリスキリングを体感している人間のひとりでございます。今回このリスキリングカンファレンスの企画・協力をさせていただくにあたり、カンファレンスのテーマとして「リスキリングは国・企業・人に幸福をもたらしているのか」という問いを立てました。
”リスキリング”という言葉自体は、だいぶ 耳慣れてきたのではないかと思っていますが、実態として、本当にリスキリングが国や企業、個人にどれだけの成長や幸福のインパクトを与えているのか、というところまでは、まだあまり耳に触れることも少ないのではないでしょうか。
今回のカンファレンスでは、実際にリスキリングを現場で推進されている方々にご登壇いただき、リスキリングの”生々しいリアル”をストーリーとしてお話しいただきます。今日1日が「リスキリングは国・企業・人に幸福をもたらしているのか」という問いに対する答えをみなさんとより深く考える有意義な1日になればと思っています。
【自治体】一歩先の未来を見据えて、まずはリスキリング導入にチャレンジを!
—— 徳島県小松島市中山俊雄市長
中 川 :まずは「国(自治体)」からのメッセージです。徳島県小松島市長であります中山市長にお越しいただきました。
市 長 :徳島県小松島市長の中山俊雄と申します。お願いします(写真左)。
中 川 :まずは小松島市というところについて教えてください。
市 長 :小松島市は、45平方キロメートルというコンパクトな町です。今はちょうどお米を作っている時期ですので、緑の絨毯を敷いたような風光明媚な景色が広がっています。ハモの特産地でもあります。京都のハモはほとんどが小松島産のものなんですよ。シラスもおいしいですので、ぜひ遊びにいらしていただければと思います。
現在人口は3万5000人ほどです。どこの市町も同じだと思いますが、ここ40年間、人口が減り続けております。40年ほど前、四国の東の玄関口の港町として栄えていたピーク時は4万4000人でありましたが、鳴門に橋がかかりフェリーが撤退してからは、経済的に元気がなくなっていっているような状況で、それに伴って人口も減っているのが現状です。
中 川 :ありがとうございます。そんな厳しい状況を打破すべく、小松島市では昨年1年間、小松島市民の方々を対象にしたリスキリング推進事業を展開されました。ご縁あって、弊社が支援させていただいたのですが、その内容は、リスキリングセミナーの開催、IT基礎スキル習得支援、そして首都圏の企業へのリモートインターンを経験していただく、というものでした。その結果3人の方が実際にリモート就労を実現されたわけですが、市長に改めて伺います。「リスキリング」という選択肢を選ばれた理由をお聞かせください。
市 長 :多くの地方都市がそうだと思いますが、人口減少という問題を抱え、若い人が活躍する場が少なくなってきています。そんな背景もあるからなのか、地方に暮らす若い方達というのは自己肯定がなかなかできないというのが現状です。自己否定をする若者が多いんですね。そんな中で、今回シェアエックスさんにご協力いただいた取り組みの中で、リスキリングを通じて、受講者の方々がどんどん自信をつけていくのを目の当たりにすることができました。リスキリングというのは、つまり“自分の武器を手に入れて、自信を見出す”ということなのではないかと思いますね。
中 川 :リモート就労を実現された方々が小松島市に住みながら首都圏の企業に勤めるということで、市内の雇用創出が実現したわけですよね。
市 長 :雇用創出ができたということが一番の成果です。ただ、今大きな問題になっているのが、首都圏と地方の最低賃金の格差です。
徳島県の最低賃金が現在896円であるのに対して、東京の最低賃金は1113円です。267円の格差があるわけですね。その格差が一つの原因にもなって、残念ながら結婚したくてもできない若者が多いんです。自分が生まれ育った小松島市にいながらにして、都会の仕事、都会の報酬を得られるような機会があれば、若い人たちも人生を楽しめるのではないか、と思っています。
中 川 :今回リスキリングで在宅就労を実現された3人の方は、正社員雇用からパート雇用といろいろな形で就労を実現されたわけですが、皆さん、当然東京都の基準で報酬を得られているわけですから、素晴らしい成果だと思います。3人というのは決して多い数字ではないですが、まずは第一歩。ここからですね。
市 長 :いや、まさかこんなに早く成果が出るとは正直思っていなかったんですよ(笑)
中 川 :小松島市は「ここぐらし」というものを提唱されていますよね。リスキリング事業では、これを実現するために「ここしごと」を目指されたわけですが。
市 長 :小松島市に住む人たちは、本当にみんな小松島市のことが好きなんです。子供達が夢の持てるような街にしていこう、「この街に住んでいてよかった」と思ってもらえるような街にしようと、「子育て世代応援プロジェクト」を立ち上げ、現在いろいろな施策に取り組んでいるところです。リスキリング事業を通じて、小松島市に住み続けながらしっかりとした報酬を得ることができる「ここしごと」の実現が「ここぐらし」の大きな推進力になると考えています。
中 川 :地方自治体の方々の中には、リスキリングが果たして地方活性に効果があるのか、と迷っている方々も多いと思います。最後に、市長からそんな皆さんへメッセージをお願いします。
市 長 :はい。リスキリングを通じて、若い人たちに夢を持ってもらえるような仕事を創出することができると思いますし、実際に我々も実現することができました。生まれ故郷に住みながら、安心して暮らすことができる環境を作ること。それが首都圏の一極集中を避け、地方活性化につながることだと思います。首都圏の企業の方々にもぜひ、リモート就労の機会を地方の素晴らしい人材に与えていただきたいですね。
そしてもちろん、自治体の方々には、一歩先の未来を見据えて、まずチャレンジをしていただきたいなと思います。
【企業】時代の変化に沿った企業改革には、リスキリングが絶対不可欠
—— (株)シケン 島社長
中 川 :続いて「企業」の方にご登壇いただきます。同じく小松島市から株式会社シケンの島社長にお越しいただきました。
島 社 長 :株式会社シケンの島と申します(写真:中央)。
小松島市に本社を置く、歯科技工所です。全国展開をしておりまして、国内26の営業所7技工所を有しております。国内外で1200人の社員がいるという会社です。
中 川 :2年前ですよね。DXを進めたいということでリスキリングの導入のご相談をいただきました。改めて導入された経緯を教えてください。
島 社 長 :小松島市の職員の方から、リスキリングを通じて、市民の方々の働き方の幅を広げていく取り組みをシェアエックスさんと進めているというご案内をいただきました。ちょうどその頃、弊社に産休明けの職員が2名ほどいまして。それまでは訪問営業という形で営業していたのですが、コロナ禍ということもあって、在宅という形で復帰できないか、と模索をしていたんです。在宅しながら効果を出す、という目的で、シェアエックスさんのお力を借りながら、取り組みました。
中 川 :ありがとうございます。おふたりの社員の方々のリスキリングを通じて、営業DX、インサイドセールスに取り組んでいるわけですが、実際の効果はいかがでしょうか。
島 社 長 :これまで、新規の歯科医院様とお取引をさせていただくためには、いわゆる"飛び込み訪問”をしてその場で様々な商品をご紹介する、というやり方だったわけですが、このやり方ですと、大体30回くらいチャレンジをしないと実らないというのが通常なんですね。それを、インサイドセールスという形で、電話で商品のご紹介させていただきながら、反応の良い歯科医院様に実際に営業が訪問する、という形や、SNSでの情報発信やウェビナーの開催を通じて、反応を見ながらフィールド営業で実際に訪問させていただくという形ができるようになってきています。
これまでの、言ってしまえば、“のべつまくなし”のスタイルから、ずいぶん洗練したやり方になったのかな、と思います。
中 川 :データドリブンで、お客様の温度に応じてしっかりコミュニケーションをとりながら営業をしていくということを、産休から復帰された社員の方々が在宅で生き生きと取り組まれているのは、本当に素晴らしいな、と思います。
島 社 長 :リスキリングによって、会社の形態が変わってきたように思います。2022年の11月にスタートしましたが、今期4月−6月の実績で言いますと、前年度同時期よりも3割ほど新規開拓の数が増え、そのうちの1割くらいがインサイドセールス経由になっています。お問合せも3割ほど増えております。
中 川 :今回、小松島市のリスキリング推進事業を通じて、お一人、シケンさんに在宅就労されました。市内の企業での在宅就労実現はとても喜ばしいことではないかと思いますが、市長、そのあたりどうですか?
市 長 :シケンさんは、当市でも有数の大企業でありまして、いろいろな新しいことにスピード感を持ってチャレンジされる会社です。そのような素晴らしい会社にリスキリングを通じて、市民の方が1名お世話になっているというのは大変喜ばしいことですし、さらにもっと広がっていくのだろうと期待しているところです。
島 社 長 :リスキリングによって今までにない能力を獲得していただいて、弊社のインサイドセールス部門で活躍していただいています。これからもさらにこういう機会が増えて、インサイドセールス部門自体も大きくしていけたらいいな、と思っています。
中 川 :ありがとうございます。島社長からもぜひリスキリングに迷っている企業の方々に一言メッセージを。
島 社 長 :弊社は今まで、いわゆる“飛び込み訪問”という実にアナログな形でやってきました。営業も「断られてからが勝負」というような、いわゆる“根性論的”なところでやってきましたけれども(笑)、やはり今の若い世代の方々は非常に合理的な考え方をしますので、理屈にのっとった営業活動をしていくことが大事だと思います。皆さんの企業に新しいやり方を加えていくためにも、この学び直し=リスキリングが必要不可欠なのではないかな、と思っています。ぜひチャレンジされてください。
【人】「人生の可能性が広がる」ことを実感中。もっと多くの方に実感してもらいたい
—— セブンセンスマーケティング(株)林 佳澄 氏
中 川 :最後に「人」です。リスキリングを通じて新たなキャリアを実現した林さんをお呼びします。リスキリングの主役はやはり「人」。「個人」がどうやってキャリアチェンジするか、働きがいを得られるか、それこそがリスキリングです。小松島市のリスキリング事業に参加されて、東京の企業へのリモート就労を実現された林さんをご紹介します。
林 :セブンセンスマーケティングの林佳澄、23歳です。小松島市在住でリモート正社員のエンジニア職として勤務しています。「メールクラウドログ」という、主にテレワークをしている方々を支援するサービスの責任者をしています。
中 川 :昨年最年少で小松島市のリスキリング事業に参加されました。改めてなぜ参加されたのか教えてください。
林 :単純に親に勧められたからです(笑)。大学を中退して、実家に引きこもり中に親が勧めてくれたわけですが、あれから9ヶ月経って、このような舞台で皆さんの前でお話ししているという・・・自分でも驚くほどです。本当に人生が変わりました!
中 川 :林さんは、小松島市のリスキリングセミナーで私のところにきて、目をキラキラさせて「ぜひリスキリングをしたい」と言ってきてくれたんです。“地方には金の卵のような人材がいる”と確信したのをよく覚えています。今勤務されているセブンセンスマーケティングさんが、「ミエルカログ」というサービスのMac版を作る人がなかなかいない、という課題をお持ちだったのを、林さんがインターン期間中に見事開発されたんですね。そしてそのまま正社員となり、今は開発の責任者ですよね?
林 :はい。リモートで責任者やってます(笑) 趣味でやっていたプログラミングで仕事になるのかな、とはじめは不安でいっぱいだったのですが、主にAI分野でリスキリングをし、AIを使えば仕事ができる、と確信を持てました。リスキリングは僕の人生を本当に変えてくれました!
中 川 :まさしく林さんは、小松島市にいながらキャリアの実現をしたわけですが、中山市長、いかがですか。
市 長 :そうなんです。地方には磨けばダイアモンドのように光輝く人材がたくさんいます。そうした若い人たちにとってのキャリア実現のきっかけになるよう、今年もリスキリング事業盛り上げていきたいと思います。
中 川 :林さん、「リスキリングってなんだろう?」 と思っている個人の方々へ一言メッセージをお願いします。
林 :まずは、ぜひ挑戦していただきたいです。私自身、本当に「人生の可能性が広がる」ことを肌で実感できているので、もっと多くの方に実感していただだきたいです。僕のような人が増えていけば、日本社会良くなっていくような気がします。ぜひチャレンジしてみてください。
中 川 :チーム小松島のみなさん、ありがとうございました!
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